家族にとって必要な場所

FH135_L

家族の集まる空間で気配を感じながら生活する
その他の不動産、リフォームに関する知識や情報は、←こちらからどうぞ。
一九五一年、日本では、国によって合理的かつ近代的な住宅の研究が進められ、部屋を目的によって分離させようとする動きが起こってきます。それまで、あまり広くない一般の家では、食べる場所と寝る場所は兼用されていました。たたんですぐに片付けられるちゃぶ台を利用し、その同じ場所に布団を敷いて寝ていたのです。
部屋を目的別に使い分けるなら、食べる場所と寝る場所は分離する必要があり、それだけ広さも求められるようになります。一方で、人口の都市集中に対応して戸数を増やすため、一九五五年には日本住宅公団(現在は都市基盤整備公団)が設立されました。
ここに、分離のために広さを確保する必要性と、戸数を増やすために広さを制限しなくてはならないという矛盾が起こってきます。そこで登場したのが「台所に食堂をつくってしまおう」という画期的な発想から生まれた空間で、現在ダイニングキッチンと呼ばれるものです。
家父長制が残っていた時代の、一人ずつに箱膳が置かれていた食事の形態では、父親の座る場所は決まっていました。そして、ちゃぶ台が使われていた時代も、テレビがいちばん見やすい位置に固定されていたのです。
ところが、ダイニングキッチンが出現するころから父親たちは企業戦士となり、帰ってきてもゆっくりテーブルにつく時間がなくなってしまったので、次第に固定位置をもたなくなったのです。固定位置がなくなると同時に、父親の威厳と存在もだんだん薄れてきました。
父親の存在が薄れた現在では、意図的に昔のちゃぶ台のある「茶の間」的な部屋、つまり、家族が触れ合う場所を復活させることも必要です。そのためにはできるだけ広く、工夫された空間をつくることが理想です。
たとえば、六畳の部屋で家族の一人がテレビを見ていたら、子供は近くで宿題や読書などできるはずがありません。しかし、広い空間ならば一方でテレビを見ていても、一方では違うことをするという状態が生み出せます。
ゲーム機などの楽しい要素は、子供部屋ではなく、その広い空間の一部に掻いてしまいましょう。
このような、広い空間にみんながいて、しかもそれぞれが好きなことをでき、気配を感じられるという状態が家族の触れ合いを可能にするのだと思うのです。このような空間が、茶の間的作用をもつ現在のリビングの理想形の一つといえるのではないでしょうか。
家族のコミュニケーションは、このようなちゃぶ台のある部屋がつくり出していました。